Date:2009/05/17 23:44
まずは、注目のマルキール教授の講演の部分のリポートです。ただし、講演の内容そのままではなく、マルキール教授の話を私が勝手にまとめています。しかも、本日取ったメモ頼りで書いていますのでニュアンス違いや間違いがあるかもしれません。(そこは優しく見守ってください)
1.今回の金融危機が発生した理由
それは、今日の金融システムが変化してきたから。
・従来の金融システムは、「資産を貸付ける」→「銀行のバランスシートに計上する」
・今日の新しい金融システムは、「資産を貸付ける」→「数日保有した後は、証券化商品として投資銀行やヘッジファンドに売る。」
今までの銀行では、貸し付けると自分自身のバランスシートに計上されるので不良債権がでないように真剣に信用リスクを調査して貸付を行っていたようですが、今日の銀行はリスクを他に移すことができますので、銀行は真剣に信用リスクを考えて貸付が行われなくなったようです。
だから、仕事なし・資産なしの人でも頭金不要・書類なしで、どんどんお金を借りることができるようになったようです。このあたりがサブプライムローン問題の始まりだったんですね。
2.新しい錬金術
実は、クズ資産の90%以上が投資適格A以上の評価を得ていた。
先ほど上げた、仕事なし資産なしの人に貸し付けたローンを証券化したところで、それはリスクの高いクズ証券には間違いないのですが、それをまとめて証券化(デフォルト時の支払い優先順で切り分ける)と、なぜか、AAAに8割、AAとAに1割、それ以下1割という、安全資産に生まれ変わる。
これが新しい錬金術の正体です。
しかも、安全(と思われいた)資産で儲かるので投資銀行は膨大なレバレッジをかけていたようです。ベアスターンズは、最悪期には30倍のレバレッジになっていたようです。
実態は「クズ資産」なのにレバレッジ30倍。冷静に見ると酷い状態だったようです。
3.住宅価格の推移
インフレ調整後の住宅価格は、1950年まで横ばい(インフレ率と同じ程度に値上がり)であったのに、2000年からは、なんと2倍にも跳ね上がっていた。
4.住宅バブル崩壊後の金融市場への影響
2倍にも上がっていた住宅価格が暴落したため、不動産担保証券の価値は0になった。 しかも複数の証券を組み合わせて証券化していたため、たとえ優良資産でも値がつかなかった。 高いレバレッジをかけていた金融機関はレバレッジの一斉解除したかったが米国債以外は売れなかった。
(米国債とのスプレッドは、昨年秋が最も広がっていた。 最近は最悪期を脱したがまだ差が大きい。)
結果、多くの金融機関が債務超過、生き残った金融機関も瀕死の状態。 実体経済に影響が出始めた。
5.一般消費者への影響
一般家計も過剰借り入れ状態になっていた。(住宅価格は上がると信じていたので過剰借り入れで住宅購入していた。 世界的にも、安全資産としてサブプライムローンをばら撒いていたので高いレバレッジがかかっていた)
米国では、なんと「負債の割合が年収の150%程度」「貯蓄率0%」だったらしいです。
この過剰消費が、世界の経済を盛り上げていたのに、今は、「貸付市場から個人は完全に締め出され、ローンは全く借りれない」「住宅・株式市場は暴落する」という膨大な逆資産効果があらわれている。
つまり、全く消費にお金が回らなくなり、消費者主導のリセッションが始まった。
(現状、米国の貯蓄率は5%ぐらいになったそうです。 日本人の感覚では信じられない水準ですが・・・)
つづく
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