Date:2008/09/26 00:18
それでは、いきなりの質問です。- Q1. ノルウェー輸出金融公社(Eksportfinans ASA:ノルウェー政府と複数の銀行が出資してます)が破綻しそうだとします。あなたは何処に注目すべきでしょうか?
- Q2. スウェーデン地方金融公社(Kommuninvest i Sverige AB:地方金融協同組が出資しています) が破綻しそうだとします。あなたは何処に注目すべきでしょうか?
どちらも日本から遠く離れた北欧の国の公社です。普通の投資家の方では、会社の業績どころか名前も知らないのではないでしょうか? 「別にそんな会社が潰れても影響なんてない」というのが普通の答えだと思います。 (私も業績どころか名前も知りませんでした(^^ゞ)
どうでしょう、答えは出ましたか??
答え
- A1. 野村AMが設定しています「上海50」と「南アフリカ株式指数」と「ブラジル株式指数」に連動するETF(ただしくはETN)の価値が無くなります。
- A2. 野村AMが設定しています「ロシア株式指数」に連動するETF(ただしくはETN)の価値が無くなります。
(少しだけ補足:ETFは現物の資産に投資したファンドを上場したものです。一方、ETNは、ある会社が「この債券を満期まで持てば、対象となる株式指数などと同じ資産を返します」という債券を上場したものです。 平たく言えば、ある会社が出した債券以外の何者でもありません)
例えば、「南アフリカ」ETNに投資している場合、投資している当人は「南アフリカ」の経済を調べに調べていたとしても、全く関係のないノルウェーの公社が破綻すると、その価値が無くなってしまいます。
はっきり言って「オイオイ、誰が「南アフリカ」と「ノルウェー」が深く関係していることを知っているの? そんなリスクをきちんと説明してありました? 野村さん&販売会社さん&東証+大証さん」という感じでしょうか、、、、
今回、こんな所が気になったのは、リーマンの破綻によってETNのリスクが浮き彫りになったからです。はっきり言ってETNが怖いです。
例えば、以下に良い実例があります。
先日、破綻しましたたリーマンブラザースですが、米国でOpta シリーズというETNを販売していました。もちろんETNですので投資先は債券(破綻したリーマンの債券です)。
では、現在そのOpta ETNはどうなっているのでしょうか?
Lehman Failure Illustrates Risks of ETNs (from ETF Trends)
ETNs and Bankruptcy: No 'Mr. In Between' (from SeekingAlpha)
などの記事を見ると、まだゴタゴタしているようですが、
ETNは債券への投資 → 債券はデフォルト → 同じく他のリーマンの債券を持っている投資家と会社が精算されるのを待っている状態のようです。
完全に無価値になることは無いと思いますが、たぶん投資資金は帰ってこないのではないでしょうか、、、(昨日の記事で、リーマンの北米市場はバークレイズに売却されるので、もしかするとバークレイズが負債も引き継ぐかもと思っていましたが、やはりそれは甘い考えだったみたいです)
被害にあった方には申し訳ありませんが、ETNのリスクを示す良い例になったようです。
「連動債の発行元が破綻すれば、ETNも価値が無くなる」
というのが、紛れもない事実のようです。本当に怖いです(;;)
で、話は日本に戻ってきて、
「リーマンが出していたETNは、リーマンが破綻すると価値が無くなる」これは、ある意味分かりやすいのではないでしょうか??
では、日本の「上海50」等に連動するETNはどうでしょう? 気をつけるべきは野村AMではなく、北欧の公社です。 そしてこれらETNは、ETFとして取り扱われており、ほとんどリスクについて説明されていません。
うーん、こんな欠陥だらけの商品で本当に大丈夫でしょうか?
皆さんも、十分リスクを把握した上で投資してくださいね。
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この記事に対するコメント
知りませんでした
モンチさんこんにちは。
え?そんな仕組みなんですかっ(゚Д゚;)
知らずに買ってましたよ。
まだまだ勉強が足りないようです。ハンセイ
ってか説明が足りないですよ。
Re:知りませんでした
gochinyさん、こんばんは。
>え?そんな仕組みなんですかっ(゚Д゚;)
私もETFとETNの違いを最近まで全く認識していませんでしたが、リーマンが出していたETNの状況を見ると、そんな仕組みのようです。(もちろん個別の事情があるかも知れませんので一概にこうなるとは言えませんが。)
ETN自体は悪い仕組みでないので、きちんとリスクが周知されていれば問題ないはずですが、やはり説明不足ですよねー。
無題
コ・コワッ!!!!
なんじゃそりゃあって感じです。
リスクとリターンの源泉がバラバラってことですか?
(リスクは債券発行社の破綻危険性で、リターンはインデックス連動相当ってことですよね?)
モンチさんの言うとおり説明不足もいいところですね。
すごい勉強になりました。ありがとうございます。
Re:無題
マルキールさん、こんばんは。
>リスクとリターンの源泉がバラバラってことですか?
全くその通りでです。もしくは、対象銘柄のリスク+発行元の倒産リスクという感じでしょうか。
何十年も投資し続ける投資家にとっては厳しい投資先ですね。
こんばんは
非常に勉強になりました(^^♪
ETNのことはあまり知らなかったし、投資もしていなかったのですが、リーマン発の混乱の中で、いろいろ見えなかったことが浮き彫りになってきました。
Re:こんばんは
うさみみさん、こんばんは。
>リーマン発の混乱の中で、いろいろ見えなかったことが浮き彫りになってきました。
そうですね、ETNとETFの違いは最近良く目にするようになりましたので存じている方も多いと思いますが、それでも普通は詳しく見ないですよね。こういう危機的状況になって色々見えることもあるんですねーーー。
そんな関係があるとは
モンチさん ありがとうございます。
そんな関係があるとは全く知りませんでした。
うっかりだまされるところでした。
(買う気もないのに)
ワシはさわかみファンドでいいや・・・
Re:そんな関係があるとは
せこ吉さん、こんばんは。
>ワシはさわかみファンドでいいや・・・
さわかみファンドのリスクは、長期投資のカリスマ澤上先生自身でしょうか(笑)
もし、広告塔+ファンドマネージャの澤上氏が現役引退などしてしまうと、少なからず影響が出るかも知れませんね(^^ゞ
知っていたので。。。
はじめまして。
知っていたので恐くて買えませんでした。
ETFなら組み入れられている一企業が父さんになっても、基準価格がさがるだけで済むのですが、ETNは債券がデフォルトになったら危険だなと思っていました。
今のご時勢だとますます買いづらいですね。
Re:知っていたので。。。
しおじゃけさん、はじめまして。
>知っていたので恐くて買えませんでした。
あらためて見るとそうでしたね。
私も、理論的では分かっていても、「リスクはきっと大丈夫だろう」と思っていたので少しだけ今回の事件はショックでした。
よその掲示板の話しですが
よその掲示板の話しで恐縮ですが、金(ゴールド)のETFが話題になっていました。日本の株式市場に上場している金価格連動型のETFは次ぎの2つです。
①金価格連動型上場投資信託(大証:1328)
②SPDRゴールド・シェア(東証:1326)
・・・、でも正確には1328はETNとなっており、金価格に連動する債券が組み入れられているとのことです。1326は現物の裏づけがあるとされています。(1326は分かりませんが、現物の裏づけがあるといっても、信託保全されていないケースもあるそうなので、リスクが存在することに注意が必要です。)
リンク債の信用まで気をつけなければならないのは、個人投資家には厳しいですね。
Re:よその掲示板の話しですが
エッジさんこんばんは。
>よその掲示板の話しで恐縮ですが、金(ゴールド)のETFが話題になっていました。
他でも話題になっているんですね。
>・・・、でも正確には1328はETNとなっており、金価格に連動する債券が組み入れられているとのことです。1326は現物の裏づけがあるとされています。
金価格連動ETFは、UBS、バークレイズ、マッコーリー銀行の3社の債券が組入れられているみたいですね。UBSとバークレイズは格付けAAですが、マッコーリー銀行は(多分リーマンと同じ)格付けA(^^ゞ。 まぁ3社あるのでいきなり0は無いはず?
金ETFは、現物のゴールドバーの保管情報を見たことがあります。1本毎にナンバーが打たれて何処で買ったゴールドバーかが管理されてました。
同じ金投資ができるなら、ETNよりETFですね。