Date:2009/01/20 22:58
その1からのつづきです。前回の記事では、「ドルコスト平均法で買い続ける VS 一定株数(口数)を買い続ける」でどちらか有利なのか、個人的に思うことも交えながら徒然に書きました。
結果、
「どんな場合でも等株数投資法よりもドルコスト平均法の方が有利」
(実は、数学で証明されていた(笑))
という事に行き着きました。
では、次は、「ドルコスト平均法で分けて買う VS 全額投資で一気に買う」について、どちらが有利かを徒然に書いていきます。
これは、例えば「ボーナスを沢山もらえた! 投資に120万円割り振ろう。 さぁ、一気に120万円分ファンドを買うべきか? 毎月10万円づつ12ヶ月間ドルコストで買うべきか?」等を想像してもらえると分かりやすいかも知れませんね(^^;
答えは、、、、
「ケースバイケース(汗) でも、一気に買った方が有利かも」
では、順を追って・・・。
例えば、4万円を4回に分けてドルコストで買う VS 4万円を全額投資&ホールドの場合を考えます(投資規模が小さくてスミマセン)。
以下は、株価は上下するが最終的には元に戻ってきた場合。
前提条件 | |||||
1ヶ月目 | 2ヶ月目 | 3ヶ月目 | 4ヶ月目 | ||
株価 | 100円 | 50円 | 150円 | 100円 | |
ドルコスト平均法 | |||||
購入金額 | 10000円 | 10000円 | 10000円 | 10000円 | 合計金額:40000万円 |
購入数 | 100株 | 200株 | 67株 | 100株 | 合計購入数:467株 |
平均単価:86円 | |||||
全額投資 | |||||
購入金額 | 40000円 | 0円 | 0円 | 0円 | 合計金額:40000万円 |
購入数 | 400株 | 0株 | 0株 | 0株 | 合計購入数:400株 |
平均単価:100円 |
この場合だと、ドルコスト平均法の方が有利ですね。
(オイオイ、言ってることと違うじゃないかというツッコミはまだ待ってください)
よくよく考えれば、「全額投資」は、前回(その1)で例に出した「等株数投資法」の特殊パターン(1回の平均(と呼ぶかは微妙?))と考えられそうです。だから、平均単価は「相加平均 ≧ 調和平均」と言うことが証明されていますので、「ドルコスト平均法」の方が有利になりますね(^^; (ツッコミは待ってくださいね)
では、前回(その1)とどこが違うのでしょうか??
答えは、「1回目の投資の時に1万円投資するが、残り3万円が残っている。でも、その3万円って投資機会を逃しているけど、それって良いの?」ということですね。 この期待損失を無視できるほどドルコスト平均法は有効なのか? ということが重要になります。
感覚的な話で言うと、
「そもそも、株式市場に投資する理由は、右肩上がりの経済成長を信じているから。 ボラティリティは高いが、長期で見れば、リターンは平均年率6~7%(米国の場合)ぐらいある。 右肩上がりなら、出来るだけ早く安い時に沢山買った方が有利でしょう」
という事に行き着いてしまいます。
では、ドルコスト平均法で購入単価を下げる(特にボラティリティが高い時に効果を大きい)ことと、右肩上がりのリターンがある株式に投資しない期待損失のどちらが大きいのでしょうか?
少し前の記事「(2008/07/04)短期的には、非効率で異常なマーケット」でお世話になった、「moneychimp」のサイトの「Does Dollar Cost Averaging Work?」という記事に面白い結果が出ています。
該当記事では、1950年からのS&P500のデータを使い、任意の月から1年後に、毎月ドルコストで買う場合と、最初の月に全額投資をする場合のリターンの違いを検証できます。
しかも、ドルコストコストで買う場合は、残った資金を銀行の預金で運用するという機能付きです(真ん中の「The bank account interest rate 」で調整できます)。
試しにやっていただくと分かりますが、意外とドルコスト平均法が全額投資に負けます。記事の中に
も書いていますが、
「全額投資法は、ドルコスト平均法に比べると、3回に2回の割合(約67%)で勝つようです。」(S&P500の1950年からのデータの場合)
要は、
投資資金ができたなら、すぐに購入した方が良い。 わざわざドルコスト平均法で買っても、その効果より期待損失が大きい。
ということです。
もちろん、投資時期(1/3の期間)によっては、ドルコスト平均法が有利なときもあります。
あと、気になるのは、、、「米国の場合は分かった、では日本はどうなの?」と言うことだと思いますが、それは次回にでも・・・・
その3に続きます。
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この記事に対するコメント
無題
モンチさん、こんばんは。
僕のような初心者には非常に勉強になる内容です。
ありがとうございます。
ところで、売り方にも興味があるんですがコツコツ売ってると途中で人生が終わってしまいそうです。。。
やっぱ、景気を読んでズバっと売るべきなんでしょうか。
変な質問でスミマセン。。。
Re:無題
コータローさん、こんばんは
>ところで、売り方にも興味があるんですがコツコツ売ってると途中で人生が終わってしまいそうです。。。
いえいえ、非常に面白いネタだと思いますよ。 いつかまとめて記事にしたいぐらいです。
で、答えは、、、まだまだ勉強中です。
ただ、定量的なデータは無いものの大雑把なストーリーはありますのでご紹介。
■超楽観論
「いつ売っても利益がでるので別に良いんじゃないですか」
日本はバブルの呪縛があるため、長期投資が上手くいかないという刷込みがありますが、日本だけでなく全世界にきちんと分散して投資していれば、右肩上がりのリターンを享受できます。
例えば、今NYダウは8000ぐらいです。そして、私が仮に60歳とします。
普通ならは、「損したもう駄目だー」と思いそうですね
でも、例えば30歳から投資していたとすると、1979年から投資していたことになります。
じゃ、1979年のNYダウっていくらだと思いますか??
実は、だいたい800ドルぐらいです。
「800から買い始めたものが8000ドルになっても別に良いじゃない」って思いませんか?
30年という時間のパワーは凄い物ですよ!
■楽観論
例えば、投資が上手くいって1億円になったとします。世界全体の優良な国債に分散して投資すれば、年5%ぐらいのクーポンが得られます(今は長期金利が下がっているので3%ぐらいですが・・)
年500万円(もしかすると300万円)得られるとしたら、もはや売る必要は無いんじゃないですか?
■通常論(簡易バージョン)
投資の終了を60歳とします。その時にはリスクをあまり取れないので、日本国債9割:株1割ぐらいにしたいとします。 そして、今30歳として若いので、株100%で頑張っているとします。
そういう場合、毎年アセットアロケーションを見直す方法があります。
31歳では、株97%:債券3%、32歳では株94%:債券6%、・・・等感じです。 こうすることによって運用をきちんとしながらも、60歳で大失敗ということを避けることができます。
で、60歳からは、超安全ポートフォリオを維持しつつ、必要な分だけ毎月取り崩していきましょう。
■通常論(計算が必要バージョン)
投資引退時(60歳と仮定)に必要な額を決定します。1億円とします。30歳現在手元に2000万円あるとします。(簡単にするため、追加資金はなしとしますね。追加資金があれば、もっと少ない開始資金でOKだと思います)
とすると、2000万円を30年後10000万円にするには年率5.5%の増加が必要です。
で、最初の頃は年齢も若いので株100%で運用します。
そうすると上手くいったり、いかなかったり、でも10年でみると年率平均10%で運用できました。結果は資金は約5000万円です。(上手くいきすぎかも?)
で、ここで作戦を立て直します。
残り20年で、5000万円を1億円にするには、年率、約3%で運用すればOKです。なら、株100%でなく、株:債券=5:5にしようかとリスクを落とすことが出来ます。
で、運良く25年目に目標の1億円になれば、リスクを取る必要がなく、債券100%に移行していきます
こうやって、目標に対して、随時(年に1度ぐらいでも)取れるリスクを変更(ポートフォリオの変更)していくことで、安全に抜け出す手法もあります。
(もちろん、100万円を20年で1億円というような、ありえない設定は論外ですよ!)
ご参考程度にどうぞ。
無題
モンチさん、こんばんは。
大変丁寧な返信をいただきありがとうございました。
僕のせいでゆっくりできる時間が減っちゃいましたね。
すみません。。。m(_ _*)m
超楽観論を読んでいると長生きしなきゃな~~と思いますが
あまり長く生きていると近所のヤングに「あのジジイいつまで年金もらうつもりだ?」とささやかれそうで・・・悩ましいです。
悩ましいといえばこの頃の外国債券の為替のジレンマも同様です。追加投資を躊躇してしまいます。
どうもありがとうございました。今後もよろしくお願いします。
Re:無題
コータローさん、こんばんは。
>悩ましいといえばこの頃の外国債券の為替のジレンマも同様です。追加投資を躊躇してしまいます。
長期投資なら、リバランスをしながら今まで通りの運用で良いんじゃないでしょうか?? 短期なら、今は為替の影響が、債券価格の影響を上回っているので、為替相場でタイミングを見る?? (でも、為替相場は難しいですよ)
こういう人いるよね
まー短期ならそうでしょうね。2年とか3年以下の。