Date:2009/01/18 00:41
投資手法には色々ありますが、「ドルコスト平均法」は王道中の王道。 多分投資初心者の方でも知っている手法だと思います。どの証券会社&銀行でも以下のような資料で説明しています。一定株数の購入 VS ドルコスト平均法 の購入例
だからドルコスト平均法は有利
前提条件 | |||||
1ヶ月目 | 2ヶ月目 | 3ヶ月目 | 4ヶ月目 | ||
株価 | 100円 | 50円 | 150円 | 100円 | |
ドルコスト平均法 | |||||
購入金額 | 10000円 | 10000円 | 10000円 | 10000円 | 合計金額:40000万円 |
購入数 | 100株 | 200株 | 67株 | 100株 | 合計購入数:467株 |
平均単価:86円 | |||||
一定数量の購入 | |||||
購入金額 | 10000円 | 5000円 | 15000円 | 10000円 | 合計金額:40000万円 |
購入数 | 100株 | 100株 | 100株 | 100株 | 合計購入数:400株 |
平均単価:100円 |
だからドルコスト平均法は有利
上記の場合を見る限り、ドルコスト平均法で買った方が「沢山購入できる」「平均購入単価が低く抑えられる」。 だから、「同じ金額を定期的に買うべき」ということになります。
そうすると、「ドルコスト平均法は、本当に有利なの?」という疑問を持つ方もいるとと思います。
今まで同じような内容で、有利不利を検証なさっているブログやWEBサイト等は、実は結構沢山あります。 例えば、ドルコスト平均法が有利でない(不利でもない)派としては、山崎元さんの
「山崎元のホンネの投資教室 (10)ドルコスト平均法は有利でも不利でもない 」
があります。
逆に有利派は・・・沢山ありますので省略します。
もう既に論議し尽くされている話題ですが、「でも、そんなの関係ねぇ」ということで、 私なりの考えを簡単にまとめてみました(汗)
まず、決めないといけないことは、ドルコスト平均法が「何に」対して有利なのかということですね?
今回は、まず「等株数投資」VS「ドルコスト平均法」で話を議論させてもらいます。
(ですので、「一気に買うか(例えば退職金などで大金を一度に得たので)、ドルコスト平均法で分けて買うか?」という話は、次回の話題とします。)
では、もう一つ例を・・・。 今度は下落相場です。
等株数投資 VS ドルコスト平均法 の購入例(下落相場)
前提条件 | |||||
1ヶ月目 | 2ヶ月目 | 3ヶ月目 | 4ヶ月目 | ||
株価 | 100円 | 80円 | 60円 | 40円 | |
ドルコスト平均法 | |||||
購入金額 | 10000円 | 10000円 | 10000円 | 10000円 | 合計金額:40000円 |
購入数 | 100株 | 125株 | 167株 | 250株 | 合計購入数:642株 |
平均単価:62円 (損失額:14330円) |
|||||
等株数投資 | |||||
購入金額 | 10000円 | 8000円 | 6000円 | 4000円 | 合計金額:28000円 |
購入数 | 100株 | 100株 | 100株 | 100株 | 合計購入数:400株 |
平均単価:70円 (損失額:12000円) |
絶対量の損失額で言うと、等株数投資の方が被害が少ないですが、割合で言うとドルコスト平均法の方が有利です。 逆に上げ相場の場合でも、例を出しませんが、ドルコスト平均法の方が割合で言うと有利です。
さらに踏込んで書くと、実は
「どんな場合でも等株数投資法よりもドルコスト平均法の方が有利」
です。
ご存じの方も多いと思いますが、種明かしをすると、
- 等株数投資法は、購入単価が平均されます。その平均は「相加平均」といい
(X1 + X2 + ・・・ +Xn) / n
で計算されます。
- ドルコスト平均法も、購入単価が平均されますが、その平均は「調和平均」となり
n / ( 1/X1 + 1/X2 + ・・・ 1/Xn)
で計算されます。
この2つの平均は、「車で100Kmの道のりを「行き時速50Km」「帰り時速100Km」で走ったときの平均時速は?」という問題で、
- 相加平均は、( 50 + 100 ) / 2 = 75Km/h 。
- 調和平均は、往復200Kmの行程を、行き2時間、帰り1時間の合計3時間かかる。だから、200 / 3 = 66Km/h
そして、数学的に「相加平均 ≧ 調和平均」と言うことが証明されています。
つまり、必ず「ドルコスト平均法が有利(平均単価が安い)」になります。
では、「相加平均(等株数投資法) = 調和平均(ドルコスト平均法)となる条件は?」というと、株価に変動がない場合(つまり、ずっと100円とか)となります。 少しでも株価に変動があれば、「相加平均(等株数投資法) > 調和平均(ドルコスト平均法)」となり、平均購入単価を下げることが出来ます。
さらに、面白いことに、株価に変動が大きくなればなるほど(ボラティリティが高い時こそ)「相加平均(等株数投資法) > 調和平均(ドルコスト平均法)」となります。
ですので、 最近は株価が安定しませんが、こういう時期こそ「ドルコスト平均法」が「等株数投資法」よりも有利になります。
「こんな時こそ、ドルコスト平均法」
ですね(笑)
その2に続きます。
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この記事に対するコメント
無題
相加平均 ≧ 調和平均
だとおもいます
Re:無題
>相加平均 ≧ 調和平均
ありがとうございます、修正しておきます。
確かにそうですよね(汗)。
ついつい、有利な方に>をつけてしまいました。
無題
中途で利益確定も損切りもなく、毎月定期的に投資しなければならない
という投資が本当に長続きするものなのかわかりませんが、
それを前提とすればドルコスト最強なんでしょうね。
ただ2006年以降にドルコスト投資法を始めた方は、
(よほど突飛なPFでもない限り)これから始める人に利益率では勝てないってことになるのかな・・・。
まあ、最終的に最低貯蓄より儲かれば、人に勝つ必要はないわけなのでしょうが。
個人的に思うのは、やっぱり売る(利益確定or損切りでポジション整理する)勇気だと思います。
それができないから、ドルコストってのもあるんでしょうが、
一方で、それができないのに買って大丈夫なの?
っていう疑問もあったり。
金融会社が危急存亡の事態になっているのは
体質上お金を遊ばせてノーポジでいるということができないってのもあると思いますが、
金融各社はたとえ手数料収入が減っても
もう少しポジションを整理する話題をきちんとしたほうがよくないですかね?
って、するわけもないか・・・。
Re:無題
七誌さん、こんばんは。
結局は、決めたスタイルを守れるかが問題で、長期には長期投資の理論とやり方が、短期には短期投資の論理とやり方を、守っていればOKだと思います。 どっちが良いかは宗教戦争みたいな物ですし。。。
>ただ2006年以降にドルコスト投資法を始めた方は、
>(よほど突飛なPFでもない限り)これから始める人に利益率では勝てないってことになるのかな・・・。
10年後には、きっと誤差の範囲になっていると思いますよ(断言できませんが)。それよりももっとパフォーマンスに効いてくるのは、どういうアセットアロケーションで運用したかということですし・・・。
>個人的に思うのは、やっぱり売る(利益確定or損切りでポジション整理する)勇気だと思います。
>それができないから、ドルコストってのもあるんでしょうが、
>一方で、それができないのに買って大丈夫なの?
>っていう疑問もあったり。
一番の真理は「安く買って、高く売る」。これに尽きると思います(笑)。
実は長期投資でよく使われるドルコスト法は、「安いときに沢山買えて、高い時にはあまり買わない」という事をシステマチックに行なっているだけだったりします。
また、アセットアロケーションのリバランスも、やってることは「高い物を売って、安い物を買い増す」と言うことをシステマチックに行っているだけ。
手法は非常に単純ですが実は理にかなった方法なんですよ。
景気の動向は分かりやすいですが、その先行指数の株価の底(or天井)を当ててタイミングよく売買というのは、天性の感のある方もいますが、 一般人にとっては難しいことです。 (チャートやファンダメンタルズを見て今底だという、各人のバラバラの認識に理論性を見いだせませんし(汗)。。。)
プロ(米国の破綻した投資銀行とか)だって予想が外れて、損失出しまくっているぐらいですから。
無題
金融機関がボロ負けしたのは
やっぱりチキンレースに負けたからだと思いますよ。
誰もが異常なバブルに気づいていた。
だけど、ブレーキは踏ませてくれなかった。
てのが現状ではないでしょうか?
でも1個人投資家なら、そのブレーキは自在なはずだと思うんです。
ブレーキのないクルマは、他にどんな素晴らしい性能があろうが、ポンコツに違いないし
被害者が必ず生まれるんだと思います。
Re:無題
>ブレーキのないクルマは、他にどんな素晴らしい性能があろうが、ポンコツに違いないし
長期投資にもブレーキは必要ですが、短期との使い方がきっと違うんだと思います。
短期投資は、アクセル全開(別に全開でなくても良いんですが)で飛ばして、信号が赤になったらブレーキをかける、ブレーキのタイミングが遅いと大クラッシュする。 だからブレーキが重要。
長期の場合は、法定速度でのろのろ走って、1つ先の信号が赤になったら、アクセルをゆるめる、必要ならブレーキ。
長期投資家が、株にブレーキをかける(というよりアクセルをゆるめる)のは、今でなく、もっと株が割高になる時になると思います。 そういう意味では米国債券は割高なので、本ブログでも「売ってもいいかも」ともいってますよ。