今日のニュースより、、
証券優遇税制は廃止の方向、金融所得一体課税も本格議論へ=政府税調
[東京 16日 ロイター]
-----引用開始-----
2008年末以降に期限が切れる株式譲渡益と配当にかかる軽減税率10%について、予定通り本則の20%に戻し、金融所得課税の一体化に向けた議論を進める方向が濃厚となった。
(略)
さらに香西会長は金融所得課税の一体化について「損益通算できるようになるという形で投資のリスクテークを容易にする。その意味で経済を活性化させる力があるはずだ」と述べ、損益通算の対象を拡充することなどのメリットを指摘。
(略)
上場株式の配当所得については2008年度末まで、また、上場株式などの譲渡所得については2008年末まで、軽減税率10%の適用が1年延長された。
-----引用終了-----
恒久的に税率10%になることを期待していたのですが、残念ながら淡い期待に終わりそうです(まだ決まってませんが)。
しかし一方では、金融所得課税の一体化という話もあがっています。こちらは非常に歓迎すべきことですね。
今までは、株は株、商品は商品で別々に損益を考えなければなりませんし、FX等では相対取引か、くりっく365等の取引所での取引かで税の体系が異なります。これらの問題が一発が解決するなら、軽減税率の終了も個人的にはOKです(^^;
さて話は元に戻りますが、「税率が10%から20%に戻る」といった時、我々が悩むのは税率が10%のうちに、利益を一度確定し節税効果を狙うかどうかです。
例えば、2008年末までに一度利益を確定すれば、2008年までの利益は税金を10%ですみます。そして、すぐに再投資すれば、それ以降の利益に対してのみ税率20%になります。
それでは適当に投資条件を仮定して比較してみます。
例えば、2007年より100万円で投資を開始、順調に年10%の利率で運用できている場合で、
税率が上がる2009年より税率20%で利益確定した場合
年 | 税引き前の資産 | 税引き後の資産 |
2007年頭 | 1000000 | |
2008 | 1100000 | |
2009年頭 | 1210000 | 1168000 (20%の税率が引かれる) |
2010 | 1331000 | 1264800 |
2011 | 1464100 | 1371280 |
2012 | 1610510 | 1488408 |
2013 | 1771561 | 1617249 |
2014 | 1948717 | 1758974 |
2015 | 2143589 | 1914871 |
2016 | 2357948 | 2086358 |
2017 | 2593742 | 2274994 |
この場合は、2007-2008年末まで積み上げてきた利益も20%の税金を払う必要があります。
ただし、複利効果がありますので、投資中は資産が増えていきます。
例えば、2007年より100万円で投資を開始、順調に年10%の利率で運用できている場合で、
税率が上がる前の2008年末に一度税率10%で利益確定した場合
年 | 税引き前の資産 | 税引き後の資産 |
2007年頭 | 1000000 | |
2008 | 1100000 | |
2008年末 (2009年頭) |
1210000 | 1189000 (ここで一度利益確定10%の税率が引かれる) |
すぐに、再投資
年 | 税引き前の資産 | 税引き後の資産 |
2009年頭 | 1189000 | 1189000 (この時点では儲けがないので税金なし) |
2010 | 1307900 | 1284120 (ここからは2009年からの儲けに20%の税金がかかる) |
2011 | 1438690 | 1388752 |
2012 | 1582559 | 1503847 |
2013 | 1740815 | 1630452 |
2014 | 1914896 | 1769717 |
2015 | 2106386 | 1922909 |
2016 | 2317025 | 2091420 |
2017 | 2548727 | 2276782 |
この場合、2007-2008年末まで積み上げてきた利益は10%の税金ですみます。
ただし、 投資の途中で10%の税金を引かれるので、複利効果が落ちます。
比較
上記の条件の場合、
一度利益を確定する(10%の税を払う)なら、約8年は有利(複利効果<節税効果)。
しかし、8年を越す場合は、複利効果がでるので、利益確定しないほうが良い。
まとめ
今回は、すでに利益が20%積みあがっており、 投資時の運用効率が10%のときの例ですが、
その他の場合も同様に計算していけば、利益を一度確定する(節税効果あり)方が良いのか、ホールドする方が良いのか(複利効果)、判断できると思います。
私の場合は、2008年末に超長期投資できると惚れ込んだファンド以外は、一度利益確定して節税効果を狙おうかと思います。(また、投資先の整理にもなりますので、、)
この記事に対するコメント
20%
こんにちは 記事拝見しました 20%は痛いですね、これでは駆け込み利益確定が続出して、株価低迷してしまうのではと心配です 質問があります 1)利益があるものは、10%のうちに決済するとして、含み損の株に関して損益確定はどちらの時期したほうが、有利不利はあるのでしょうか? 2)海外ETFの利益分も税金は20% になるのでしょうか?
しかし10%分稼ぐのはなかなかたいへんと思いますので、なんとか10%のまま据え置きにならないかなと切望します またホットな話題を楽しみにしております
Re:20%
いつも読んでくださってありがとうございます。
>1)利益があるものは、10%のうちに決済するとして、含み損の株に関して損益確定はどちらの時期したほうが、有利不利はあるのでしょうか?
不幸に含み損がある場合、税金は取られませんので、税金面では有利不利はないと思います。 ただ、他の含み益のものと相殺できますので予想以外に利益が出たときに合わせて損を確定させるのも良いかも知れません。
>2)海外ETFの利益分も税金は20% になるのでしょうか?
国内で購入できる海外ETFは、国内株とほぼ一緒ですので、20%になると思います。
ちなみに、売買益は、国内株と同じ扱い(損益を相殺できます)。 面倒なのは為替の計算を自分でやらないといけないことでしょうか。 分配金や配当金は、米国と日本で2重課税されますので、確定申告時に申告すれば、少しだけ返還されます。
まだ20%課税が確定したわけではないので実施延期を期待しましょう(^^
個人投資家の苦悩を分かって欲しい
優遇税制撤廃議論は、波紋を広げていますね。
1、2年程度の短期的には利益確定でよさそうですが、
中長期的にはどうなのでしょう???
10年後は元より5年後の税制を今の10% or 20%だけの
選択肢で比較していいものなのだろうか…などと考えて
ます ^^;
個人的には数年後には金融所得課税が一体化されて
税率も変更されると思います。
そうなると問題は増税方向なのか、減税方向かなの
ですが、「貯金から投資へ」の流れが続き金融商品に
対する税金は5年~10年程度の中期的な期間では減税
向きの圧力が強くなりそうというのが私の私見です。
Re:個人投資家の苦悩を分かって欲しい
>個人的には数年後には金融所得課税が一体化されて
>税率も変更されると思います。
とりあえず、金融所得課税が一体化は実現して欲しいところです。
個人的には、米国のように「給与なども含めた所得との通算できる」ぐらいの利便性が欲しいですね。
税率は、一律20%というよりも、米国・英国・独国のように、保有期間に応じた優遇税率でお願いしたいです。
>そうなると問題は増税方向なのか、減税方向かなの
>ですが、「貯金から投資へ」の流れが続き金融商品に
>対する税金は5年~10年程度の中期的な期間では減税
>向きの圧力が強くなりそうというのが私の私見です。
日本国が、本気で「貯金から投資へ」の流れを望んでいるなら、書かれているとおり減税方向でしょうか。 個人投資家向けに「年100万円までは非課税」等の政策を出したりして欲しいですね(^^;